ティアナ(TEANA)3代目L3型
3代目にあたる新型ティアナが、2014年(平成26年)2月5日に発売されました。
このティアナは、日本国内に留まらずアメリカ、中国などを中心に世界各国で販売される予定の日産のグローバル戦略車です。
ティアナ
ティアナは、「車にモダンリビングという考え方」というキャッチフレーズとともに登場し、プリメーラとともにカルロス・ゴーン体制になったデザイン、テイスト重視の車づくりで新たな境地を見せた時代を思い出す。
ティアナという車名は、まさに新しい日産を象徴するイメージを冠した、非常に新鮮な響きを感じさせる名称だった。
「おもてなし」のコンセプトでモデルチェンジした二代目は、やや先代のエッジがぼやけた感がしていたが、プレミアムカー化の路線を敷いた印象を受け、それはそれで車の魅力を感じるものだった。そして今回の3代目。
結論から言うと、個人的には、これまでのティアナの系譜からはイメージ的にはずれ、かつてのローレルのようなコンサバな感じを受けた。
デザインや装備、性能も進化しているが、かつてのティアナの持つモダンさとは持ち味が異なる。モダンなティアナから本来の日産らしさへの回帰、そんな風にすら感じる車だ。
新型ティアナの第一印象
まず、エクステリアのデザインについて。
その外観、エクステリアデザインの斬新さが目をひく「ティアナ」だが、エクステリアのテーマとして「Suggestive Aura」(オーラを思わせる)がテーマとなっており正にテーマ通り「人々にオーラを思わせる」に充分な近未来的な高級感をそこはかとなく演出している。
現代の車作りの流れに逆行、反逆ののろしを挙げたかの様なシャープなデザインのライトのデザイン、全体的なボディのフォルムも非常にシャープでスピーディーなワイルド感を彷彿とさせる。
重心の低いボディーが印象的な新型「ティアナ」だが、今回新しいボディーカラーとして「ウォーターフォールブルー」を発表しボディーカラーは合せて全6色の「スクラッチシールド」使用の車色となっている。
次にインテリアに関してですが、エクステリア同様、上質なシート、至れり尽くせりのポジションで快適そのもの。高級感のある卒のないインパネまわり等、どれをとっても悪くない。ただし、構図やデザインがどうしても、欧州車のそれとは異質で、テイストに欠けるかなとは思った。
良く言えば、日本車的な高級セダンのキャビン、悪く言えば、センスが足りない成金インテリアかなぁ…。
オリジナリティがあるといえばそうだが、近年のトレンドを鑑みれば、このへんはマツダのほうが上手い気がする。アテンザのようにワクワク感はなかった。この辺は、好みの問題もあるので、悪しからず!
走りでは「クルーズ」を売りにしており、新開発のリアマルチリンクサスペンション、クルーズコントロールに、CVTと、乗り心地を追及した新技術を搭載している。
特筆すべきはエンジントルクで、日常の様々なシーンで有用となる事が予測されるエンジントルクセッティングにエンジントルクを設定。
これまでの日産の前輪駆動車の定番だった「VQ25DE」エンジンからの脱却を図っている。
CVTのエクストロニックは約8割の部品を新規に日産が独自開発。
小さくなったオイルポンプやそれにより少なくなったオイル量が摩擦と抵抗を約4割低減し、燃費の効率を高めている。
燃費の効率が高めつつ、なおかつ加速性を高める為のギア比率のワイド化を実施し、ローギアの領域では加速性能、ハイギアの領域では燃費性能の効率を高めるといった「2足のわらじ」とも言える夢の高性能の共存を実現した。
エンジンを初めとした性能が高まった一方で、ボディ重量は何と先代の「ティアナ」に比べ40kgも軽くなった。
ボディの軽量化を実現しながら室内空間や室内の快適さは向上し、先代「ティアナ」より26%アップしたリッターあたり14.4kmのJC08モードの燃費にも注目だ。
なお、日産は全車種が50%減税のエコカー減税対象となっており、新型「ティアナ」も減税対象となる。
総じて、新型ティアナ。とても仕上がりの良い日産車の良心が伝わる車だと思う。ただし、乗って楽しい車かどうかは、人を選ぶのではないだろうか。
少なくとも、私にとってはそのあたりに多少の不足を感じる仕上がりである。
近年、市場ではひたすら低燃費と乗り心地重視だが、本来の車の楽しさはもっと幅広い要素が作り出している概念だと思う。
そういう意味で、センスやドライビングプレジャーにあまり左右されない層にとっては支持される可能性はある。ただし、車好きにとっては、いささかとらえどころのない車であることは否めない。
個人的に、ティアナは1代目のような、エッジの立った車であってほしい、そんな気がした。